プロミス株式会社(以下、当社)は、本日開催の取締役会において、抜本的なコスト構造の改革、営業体制の変革、金融事業への経営資源集中による収益基盤の確保を柱とした事業構造改革プランについて下記のとおり決議いたしましたので、お知らせします。
記
1.事業構造改革プランの目的
本年6月までに貸金業法の完全施行が予定されており、当社の主力事業である無担保ローン事業においては、総量規制導入によるマーケットの縮小と、金利規制による貸付利回りの低下が懸念されることから、利益水準については低下を余儀なくされる見通しです。一方、当社が収益基盤の多角化の一環として積極的に推進している銀行との保証事業においては、今後のニーズ拡大が期待されます。
こうした事業環境の大きな変化に対応し、当社が安定した収益を確保していくためには、まずは事業構造の改革と、これに伴う抜本的なコスト削減が不可避であるとともに、業態の枠を超えた競合の激化が予想される中で、効率的かつ高品質な顧客サービスの提供が可能な営業体制への変革が必要と判断しました。
また、グループ経営については、連結業績の維持・向上を図るために、業績改善に時間を要する事業から早期撤退し、消費者金融事業と保証事業を中心とした金融事業に経営資源を集中するとともに、業務効率化の推進により、グループ全体での収益基盤の強化が急務であると判断しました。
2.コスト構造改革の概要
当社では、後述する営業組織の再編と人員の効率化を柱に、あらゆるコストの見直しを断行することにより、3期後の2013年3月期の貸倒費用、利息返還費用、債務保証費用を除く一般販管費を、今期の同計画値(プロミス単体で702億円、連結で1,322億円)に対し、プロミス単体で230億円、連結で430億円それぞれ削減し、新たな環境下においても安定した収益の確保が可能な筋肉質な経営体質への変革を実現します。
(1)プロミスの営業組織の再構築
自動契約機、インターネット店舗といった非対面チャネルが、新規申し込みの主流となっている現状を受け、現在全国に148店(2009年12月末時点)ある有人店舗を2011年3月末までに全廃し、営業債権に関わる顧客管理及びマネジメント機能を、全国3ヵ所に新設する8つの「お客様サービスセンター」に集約します。加えて、全国に1,361店舗(2009年12月末現在)ある自動契約機店舗(無人)についても、稼動効率を踏まえた見直し(不採算店の廃店)を行い、1,250店舗体制とします。なお、全国に179台(2009年12月末現在)設置しているローン申込機(PME)については、2010年8月末までに全て撤去する予定です。これにより、自動契約機、インターネット、電話等を通じてのお客様からの新規申込み、各種お問い合わせ、ご相談の受付から債権の管理・回収業務等全てのお客様サービス・対応を、集中センターであるコンタクトセンター(自動契約機、インターネット店舗の受付、コールセンター業務)と、お客様サービスセンターで対応する非対面を基本とした営業組織体制を構築します。
また、新たな有人拠点として、対面によるカウンセリング窓口に加え、個人事業主向けのローン販売や、当社と地域社会とのコミュニケーション拠点を志向した「お客様サービスプラザ」を、全国に20拠点を目処に設置します(お客様サービスプラザの詳細は後述)。
(新旧の営業組織体制)

(2)人員の効率化
上述の営業組織の再構築に加え、本社部門の統合やグループ会社の再編等により、今期初プロミス単体で約3,000人、連結で約5,300人であった従業員数を、2011年3月末までに、単体で 1,800人、連結でも3,700人まで削減します。なお、人員削減は法改正の対応状況や、営業組織の再編等の進捗状況にあわせ実施していく予定であり、削減方法等の詳細については現時点では未定です。
3.本業特化に向けた周辺事業の整理
本業である金融事業への経営資源の集中を図るために、当社にノウハウが乏しく、収益改善に時間を要するカーコンビニ倶楽部等の自動車関連事業については、売却等による整理を進めています。また、これらの事業における資金決済ニーズを中心に、総合割賦・個品割賦商品等の金融サービスを提供してきたDoフィナンシャルサービスについても、事業内容の見直しを進めています。
4.グループ会社の再編
グループ内における重複事業を整理統合し効率化を進めることにより、グループ全体での収益力の強化を図ります。
(1)無担保ローン事業及び保証事業
当社同様に無担保ローン事業と保証事業を展開している三洋信販については、2010年10月を目途にプロミス本体と合併する予定です。同じく無担保ローン事業を展開している三井住友銀行(以下、SMBC)との合弁会社アットローンについても、来期中を目途にプロミスへ統合する方向でSMBCと協議中です(当社と三洋信販との合併の詳細は、本日リリースの「子会社の吸収合併に関するお知らせ」をご参照下さい)。
(2)サービサー事業
グループ内でサービサー事業を展開しているパル債権回収と三洋信販債権回収の2社については、2010年4月に合併する予定です。合併後は、小口債権から大口債権まで取り扱う総合サービサーを目指し、グループの収益の柱となるよう育成していきます。
(3)海外事業
現在当社では、香港とタイに現地法人を設立し、無担保ローン事業を展開していますが、今後は香港現法を当社の海外事業のヘッドクオーターとし、中国本土を中心にアジアにおいて新たな地域への進出を進めていきます。
5.無担保ローン事業、保証事業におけるシェアの最大化に向けた取り組み
当社は国内における無担保ローン事業と保証事業を中心に経営資源を重点配分し、事業の効率化とサービス品質の向上を両立させることにより、ノンバンクの中での両事業のシェアの最大化を目指します。
(1)無担保ローン事業
社内資格としてマネーアドバイザー制度※を新設するなど、社員教育の充実と、各集中センター間の徹底した情報の共有化によるシームレスな顧客対応により、非対面チャネルにおけるお客様サービス・対応レベルの向上を図っていきます。また、個人事業主向けのローンや目的ローン等、貸金業法完全施行後の新しい制度に対応した柔軟な商品の開発・提供により、幅広い資金ニーズに対応していきます。
また、SMBCの全国700強のローン契約機(以下、ACM)でプロミスへのローンの申込が可能になるよう対応を予定するなど、新たな顧客層の開拓も推進していきます。
※ マネーアドバイザー制度・・・・・貸金業法の趣旨を踏まえ、お客様の債務健全化を目的とした適切なカウンセリングを行うことを目的とし、突発的なアクシデント等により一時的に返済困難となったお客様への対応をはじめ、お客様の様々な金銭管理に関するご相談にお応えできる人材を育成していきます。資格取得にあたっては、カウンセリング技法、法律知識、金融・クレジット全般に関わる知識等、幅広いプログラムの研修受講を義務付け、認定試験の合格を条件とする予定です。今後当社の営業組織体制を再構築していく中で、コンタクトセンター、お客様サービスセンター、お客様サービスプラザといった、お客様対応を行う営業現場全てにマネーアドバイザーを配置していく予定です。
<新たに設立するお客様サービスプラザの概要>
「お客様サービスプラザ」の一部の店舗では、元旦を除き364日営業し、営業時間も午前10時から午後8時までと夜間営業を延長する予定です。ここではマネーアドバイザーの社内資格を持つ社員が、ご返済に関するご相談から新たなマネープランのご提案までを含めた対面でのカウンセリングを行うだけでなく、各地域の各種団体等との提携も視野に入れた個人事業主向けのローン販売等、従来の有人店舗とは異なる役割を担う予定です。また、同店舗内にATMやSMBCのACMの設置も検討するなど、自社顧客だけでなくオープンな地域社会とのコミュニケーション拠点として展開していく予定です。
(2)保証事業
順調に拡大しているSMBCとのカスケード事業については、今後も積極的に注力していきます。さらにSMBCの販売している個人向け無担保の目的ローンについても、既に保証受託している教育ローンに加え、2月から新たに2種類の目的型ローン(「マイカーローン」および「フリーローン」)の保証受託を予定しています。また、地域金融機関との保証提携についても、三洋信販の保証部門との統合により効率化を図り、SMBCとの連携を強化し新規提携先の開拓を進めるとともに、既存提携先についても、柔軟に商品の改良、追加サービスの提供を行っていくことにより、保証残高の積み上げを図っていきます。
6.業績に与える影響および通期の業績予想
以上の事業構造改革の各施策は、来期以降に本格的に実施するものが中心であるため、本事業構造改革プランの実行が今期通期業績に与える影響は軽微です。従って2009年5月に発表した今期の通期業績予想ならび配当予想に関しては現時点で変更はありません。
以上